【塾講師が解説】日本語は「文末」で意味が決まる言語|すべての読解テクニックの土台

「わかった」と「わからなかった」——たった数文字の違いですが、意味は正反対です。文の最後で意味が決まります。

こんにちは。塾業界で20年以上、中学受験塾の塾長も務めてきたまつもも先生です。

これまで、設問は最後まで読むこと、選択肢は言い過ぎ言葉に注意すること、傍線を含む一文をまるごと読むこと——と、いろいろな場面で「最後まで読む」大切さをお伝えしてきました。今日は、そのそもそもの理由をお話しします。

日本語は、「文の最後」に意味が決まる言語

日本語という言語には、大きな特徴があります。

打ち消し(〜ない)も、断定も、疑問も、すべて文の最後にやってくる。

たとえば、こんな文を考えてみてください。

テストの点数が悪くても、がっかりする必要はない。

もし「テストの点数が悪くても、がっかりする」で読むのをやめたら、**「点数が悪いと、がっかりするものだ」という意味に読めてしまいます。**ところが本当は逆で、「がっかりする必要はない」——がっかりしなくていい、という文だったのです。

最後の「必要はない」という数文字が、文全体の意味を決めています。しかも、途中まで読んだだけでは、真逆の意味にとらえてしまうのが厄介なところです。

英語なら、否定の言葉(not など)は文の真ん中あたりに出てきます。でも日本語は、最後まで聞かないと、賛成か反対かすらわからない言語なのです。

だから、「文末まで読む」がすべての基本になる

このシリーズで、いろいろな「最後まで読む」テクニックをお伝えしてきました。

  • 設問を最後まで読む……「正しくないものを選べ」の「ない」を見落とさない
  • 選択肢の言い過ぎ言葉に注意する……「必ず」「すべて」があるかないかで正誤が変わる
  • 傍線を含む一文をまるごと読む……文末の形で、気持ちか理由かがわかる

これらは、実はバラバラのテクニックではありません。「日本語は文末で意味が決まる」という、たった一つの性質から生まれている注意点なのです。

本文の中にも、文末で意味が反転する文がある

設問や選択肢だけでなく、本文そのものの中にも、この落とし穴はあります。

一見、失敗のように見えるが、それは失敗ではない。
彼女は、簡単に許したわけではなかった。
みんなは反対したかもしれない。

こういう文を、途中で読むのをやめてしまうと、**まったく逆の意味で頭にインプットされてしまいます。**特に、物語文でよく出てくる「〜のように見えたが、実は〜」という表現。前半だけを読んで安心してしまうと、後半でひっくり返されたことに気づけません。

「途中で決めつけない」という読み方

対策は、ひとつです。

文を読んでいる途中で、「こういう意味だな」と決めつけない。

日本語は、最後の一言まで、意味が確定しません。だから、「。」が来るまでは、まだ結論を出さないという姿勢が大切です。

これは、慌てて読む子ほど陥りやすい落とし穴です。文の前半だけ見て「あ、わかった」と判断してしまう。でも、日本語という言語の作り上、それは早すぎるのです。

音読すると、この感覚が育つ

実は、この「最後まで聞かないとわからない」という感覚は、音読で育ちます。

声に出して読むとき、私たちは自然と、文末の「ない」や「かもしれない」を、はっきり発音します。黙読で目だけで追っていると、こういう言葉はうっかり読み飛ばしやすいのですが、声に出すと、飛ばしようがありません。

音読の記事でお伝えした「読めなければ解けない」という話は、ここにもつながっています。文末まで正確に声に出せる子は、文末まで正確に意味を取れる子でもあるのです。

テストでの実践:文末に印をつける

テストの本文を読むときの実践法をお伝えします。

打ち消しや逆転を表す言葉が出てきたら、線を引いてみてください。

  • 「〜ない」
  • 「〜わけではない」
  • 「〜とは限らない」
  • 「〜かもしれない」

これらの言葉に線をひきながら読むと、その文が、素直な内容なのか、ひっくり返っている内容なのかが、あとで見返してもすぐわかります。特に、あとで設問に戻ってきたときに、この印は威力を発揮します。

家庭では「最後まで聞いてから答えてね」

実は、これは家庭の会話でも練習できます。

お子さんが、こちらの話を最後まで聞かずに「あ、わかった、こうでしょ」と早合点することがあれば、こう伝えてみてください。

「最後まで聞いてから、答えてくれる?」

日本語で会話をするとき、私たちは無意識に「最後まで聞く」を実践しています。それを、意識的な習慣として育てておくと、そのまま読解にも活きてきます。

そして、文章を読んでいるときも同じです。「まだ文が終わってないよ、最後まで読んでみて」——この一言が、読み飛ばしのクセを直していきます。

まとめ

  1. 日本語は、打ち消しも断定も、文の最後にやってくる言語
  2. これまでの「最後まで読む」テクニックは、すべてこの性質から来ている
  3. 本文の中にも、文末で意味が反転する文がある(「〜ではない」「〜わけではなかった」)
  4. 読んでいる途中で、意味を決めつけない——「。」が来るまで結論を出さない
  5. 音読は、文末を読み飛ばさない感覚を育てる
  6. 打ち消し・逆転の言葉には、線をひきながら読む

次に文章を読むとき、思い出してください。日本語は、最後の一言で意味が決まる言語です。「。」が見えるまで、気を抜かずに読み切りましょう。

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