「A模試では偏差値62なのに、B模試では55だった。うちの子、本当はどっちなの?」——こういうご相談、本当によくいただきます。
こんにちは。塾業界で20年以上、中学受験塾の塾長も務めてきたまつもも先生です。
今日は、偏差値の仕組みについてお話しします。ここを知っておくと、模試の結果に一喜一憂しすぎずに済みます。
同じ学校でも、偏差値は塾によって違う
まず、大事な前提をお伝えします。
同じ学校を受験するとしても、その学校の「偏差値」は、模試を実施している塾や会社によって違います。
「え、偏差値って、その学校の”難しさ”を表す、決まった数字じゃないの?」——そう思われるかもしれません。でも、実はそうではないのです。
偏差値は「その模試を受けた人たちの中での位置」
偏差値の正体を、あらためて確認しましょう。
偏差値は、その模試を受けた人たちの中で、自分がどのあたりにいるかを表す数字です。平均が50になるように計算されていて、平均より上なら50より大きく、下なら50より小さくなります。
ここでポイントなのは、「誰と比べているか」が、模試によって違うということです。
- A塾の模試……A塾に通う生徒、A塾の模試を受けた層
- B塾の模試……B塾に通う生徒、B塾の模試を受けた層
塾によって、通っている生徒の顔ぶれ、レベル、母集団の大きさは違います。比べる相手が違えば、同じ実力でも出てくる数字は変わるのです。
だから、「A塾では62、B塾では55」——これは、どちらかが間違っているのではなく、両方とも、それぞれの中では正しい数字なのです。
だから「学校の偏差値」も、会社によって違う
同じ理由で、「この学校の偏差値は◯◯」という、学校側の数字も、模試を実施している会社によって違ってきます。
同じ学校を「偏差値60」と載せている資料もあれば、「偏差値55」と載せている資料もある。これも、その模試を受けている生徒層の違いが理由です。
「どの資料が正しいの?」ではなく、「どの模試の、どの物差しで測った数字か」という視点で見る必要があるのです。
大事なのは「対応させてみる」こと
では、どうすればいいのか。ここが今日いちばんお伝えしたいことです。
大切なのは、数字をそのまま比べるのではなく、「対応させてみる」ことです。
つまり——
- 自分が受けている模試の中で、志望校の偏差値がどのくらいか
- 同じ模試の中で、自分の偏差値がどのくらいか
同じ物差しの中で、学校と自分を並べて見るのです。違う物差しで測った数字どうしを、そのまま比べても意味がありません。
たとえば「A塾の模試で、自分の偏差値が58、志望校の偏差値が60」なら、その差が意味を持ちます。これを、別の塾の模試の数字とごちゃまぜにして考えると、正しい距離感がつかめなくなります。
複数の模試を受けたときの考え方
模試を複数受けることもあると思います。そのときも、考え方は同じです。
それぞれの模試の中で、「自分」と「志望校」の位置関係を見る。そして、同じ模試を継続して受け、その中での推移を追う。
A塾の模試を受け続けているなら、A塾の模試の中での偏差値の上がり下がりを見てください。違う模試の数字を持ち出して、「先月より下がった」と比べるのは、正確な比較になりません。
模試を変えるタイミングでは、数字が大きく変わることがあります。それは実力が落ちたのではなく、物差しが変わっただけ、ということが少なくないのです。
塾の先生に「差」を聞くのがいちばん確実
とはいえ、保護者の方だけで、模試ごとの違いを正確に把握するのは難しいものです。
いちばん確実なのは、通っている塾の先生に直接聞くことです。「この模試での偏差値58は、他の模試だとどのくらいの感覚ですか」——塾の先生は、複数の模試の傾向を知っていることが多いので、目安を教えてもらえるはずです。
数字だけを見て一人で判断せず、詳しい人に「対応」を確認するのが、いちばん安全な方法です。
一喜一憂しすぎない
最後に、お伝えしたいことです。
模試の結果が悪いと、保護者の方も動揺してしまうものです。でも、その数字が、どの物差しで測られたものかを知っていれば、少し冷静に受け止められます。
大事なのは、絶対的な数字ではなく、同じ物差しの中での”推移”。前回より上がったか下がったか、志望校との距離が縮まっているか——そこを見るようにしてください。
家庭では「これ、何の模試の数字?」
模試の結果を見るとき、家庭でもぜひ意識してほしいことがあります。
結果を見るたびに、「これは、どこの模試の数字か」を確認する癖をつける。
そして、その模試の中での志望校の偏差値と、見比べる。違う模試の数字を混ぜて一喜一憂しない——これだけで、ご家庭の中の雰囲気は、ずいぶん落ち着いたものになります。
まとめ
- 同じ学校でも、偏差値は模試を実施する塾や会社によって違う
- 理由は、比べる相手(受験者層)が違うから
- 大切なのは、数字をそのまま比べず、**同じ模試の中で、自分と志望校を「対応させてみる」**こと
- 模試を変えると数字が変わっても、実力が落ちたとは限らない
- 迷ったら、塾の先生に「差」の目安を聞くのがいちばん確実
- 数字そのものより、同じ物差しの中での推移を見る
模試の結果に一喜一憂しそうになったら、まず「これは、どの模試の数字だったかな」と、ひと呼吸置いてみてください。

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