【塾講師が解説】「しかし」の4つの意味|”たしかに〜しかし〜”の後ろに筆者の主張がある

「しかし」には、4つの顔があります。同じ「しかし」でも、役割がちがうのです。

こんにちは。塾業界で20年以上、中学受験塾の塾長も務めてきたまつもも先生です。

前回、接続語の空欄問題は前後だけで解ける、というお話をしました。今日はその中でもいちばん重要な逆接(しかし・ところが・だが)を、もう一歩深掘りします。

ここがわかると、説明文で筆者の主張を見つける力が、はっきり上がります。

逆接の4つの意味

「しかし」が使われる場面は、大きく4つに分けられます。

①反対:前と後ろが、逆のことを言っている

朝から三時間も勉強した。しかし、点数は伸びなかった。

いちばん基本の形です。前後がひっくり返る、いわば「そのまんまの逆接」。

②対比:二つを並べて、くらべている

兄は外で遊ぶのが好きだ。しかし、弟は家で本を読むのが好きだ。

こちらは「反対」というより、二つを並べて見せている形です。どちらが良い悪いではなく、ちがいを示している。「一方」「それに対して」も、この仲間です。

説明文では、この対比がとてもよく出ます。「昔は〜。しかし今は〜」「日本では〜。一方、外国では〜」——対比に気づけると、文章の骨組みが見えます。

③予想が外れる:思っていたことと、ちがう結果になる

空は真っ黒だった。しかし、雨は降らなかった。

「これだけ黒い雲なら、降るだろう」という予想。それが外れた——という形です。前後が逆というより、読み手の”予想”を裏切るのがこのタイプ。物語文でも、場面が動くときによく使われます。

④一旦認めて、あとで強調する

たしかに、ゲームは楽しい。しかし、時間を決めて遊ぶことが大切だ。

これが、いちばん大事な4つ目です。

書き手は、まず相手の言い分を一旦認めます(「ゲームは楽しい」)。そのうえで、「しかし」で自分の言いたいことを出す。——認めてから、ひっくり返す。

そして注目してほしいのは、筆者が本当に言いたいのは、後ろのほうだということです。

④は、入試でいちばん狙われる

接続語の記事で「しかしの後ろには、筆者の本音がある」とお伝えしました。その正体が、この④です。

なぜ筆者は、わざわざ反対の意見を認めるのでしょうか。それは、そのほうが説得力が増すからです。

いきなり「ゲームはよくない」と言われたら、読む人は反発します。でも「たしかにゲームは楽しいよね」と一度受け止めてもらえたら、その先の話を聞く気になる。相手の言い分を認められる人の意見は、信用される——書き手は、それをわかって書いているのです。

だから入試では、この形が繰り返し問われます。「筆者の考えを答えなさい」——答えは、ほぼ「しかし」の後ろです。

見つけ方の目印は「たしかに」

④を見抜く目印は、はっきりしています。「しかし」の前に、こんな言葉があることです。

  • たしかに
  • もちろん
  • なるほど
  • 〜かもしれない

これらが出てきたら、「あ、いま一旦認めているな」と気づいてください。そしてその先の「しかし」を探す。その後ろが、筆者の主張です。

教室では、こう教えています。「たしかに」を見つけたら、丸をつけて「しかし」を探しにいく。——これだけで、主張を見つける精度がぐっと上がります。

気をつけたい落とし穴

ここで、間違いやすいポイントがあります。

「たしかに〜」の部分を、筆者の意見だと思ってしまうことです。

たしかに、ゲームは子どもの集中力を育てる面もある。しかし——

この前半だけを読んで「筆者はゲーム賛成なんだな」と答えると、バツになります。前半は、筆者が”一旦認めただけ”の他人の意見。筆者の考えは後半です。

選択肢問題でも、この前半の内容がそのまま選択肢に並んでいることがあります。いわばひっかけの定番。「たしかに」の中身は主張ではない——ここは、はっきり覚えておいてください。

家庭では「たしかに〜、しかし〜」で話してみる

家庭でおすすめなのは、この形を会話で使ってみることです。

たしかに、今日は疲れてるよね。しかし、漢字だけはやっておこう」
たしかに、その意見もわかる。しかし、お母さんはこう思う」

——この言い方、子どもに響きます。頭ごなしに否定されるより、一度認めてもらえるほうが、耳を貸す気になるからです。

そして子ども自身も、この形を使えるようになります。「たしかに宿題は大事。しかし、今日は運動会で疲れた」——なかなかの反論ですが、これはもう立派な論の立て方です。作文や意見文で、そのまま使える力になります。

まとめ

  1. 逆接には4つの意味——反対/対比/予想が外れる/一旦認めて強調
  2. ②対比は、説明文の骨組み(昔と今、日本と外国)
  3. ④が最重要——「たしかに〜。しかし〜」の後ろが筆者の主張
  4. 目印は「たしかに」「もちろん」「なるほど」——見つけたら「しかし」を探す
  5. 落とし穴は、「たしかに」の中身を筆者の意見だと思うこと

次に説明文を読むとき、「たしかに」を探してみてください。そこから数行先に、筆者がいちばん言いたいことが待っています。

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