「過去問は、何点取れるか試すためのもの」——そう思っていたら、実はもったいないです。
こんにちは。塾業界で20年以上、中学受験塾の塾長も務めてきたまつもも先生です。
秋は、いよいよ過去問に取り組む時期です。今日は、過去問を解く本当の目的についてお話しします。
過去問は「点数を測るもの」ではない
もちろん、過去問を解けば点数は出ます。でも、それだけを見て一喜一憂するのは、過去問の使い方としてはもったいないです。
過去問の本当の役割は、その学校の”クセ”を知ることです。入試問題は、学校によってまったく違う顔をしています。同じ「国語」でも、学校が変われば、別の科目のように感じることさえあります。
では、具体的に何を知るのか。4つに分けてお伝えします。
①出題範囲を知る
まず、どんな分野が出るのかです。
物語文中心の学校、説明文が多い学校、詩や随筆まで出る学校。漢字・語句が独立して大問になっている学校、文章の中に埋め込まれている学校。——学校によって、ずいぶん違います。
出やすい分野を知っておけば、家庭学習の重点も決められます。知識問題が多い学校を受けるなら語彙・漢字に力を入れる、記述中心の学校ならそこを重点的に、というように。
②記述の量と解答形式を知る
記述問題が、どれくらいの量で、どんな形式で出るかも、学校ごとにまったく違います。
- 字数が指定されているか(「40字で」)、それとも制限なしか(「解答欄の大きさで判断」)
- 記述の数は多いか少ないか
- 記号選択が中心か、記述中心か
字数指定と字数制限は、似ているようで書き方が変わります。その学校の形式に、体を慣れさせておく必要があるのです。本番で初めて出会う形式に対応するのは、思った以上に難しいものです。
③時間と文章量のバランスを知る
制限時間に対して、文章がどれくくらいの量あるか。これも学校ごとの個性です。
文章が長く、時間に余裕がない学校。文章は短めで、じっくり考えさせる学校。——この感覚は、実際に時間を計って解いてみないとわかりません。
「時間内に全部読み切れるか」「読むだけで何分かかるか」——これを知っておかないと、本番で焦ることになります。
④年ごとの難度の違いを知る
過去問は、1年分だけでは判断できません。
同じ学校でも、年によって難しい年、やさしい年があります。1年分だけ解いて「難しかった、無理かも」と落ち込むのも、「簡単だった、余裕」と油断するのも、どちらも早計です。
複数年分解いてはじめて、その学校の”平均的な難度”が見えてきます。
少なくとも5年分は解いておきたいところです。
そして、いちばん大事な目的:優先順位をつける練習
ここまでの4つを踏まえて、今日いちばんお伝えしたいことです。
過去問の最大の目的は、「捨てる問題」と「必ず取る問題」を見極める練習をすることです。
入試は、限られた時間の中で行われます。全問を完璧に解ける時間は、たいてい用意されていません。だからこそ、本番で問われるのは、知識や読解力だけでなく、「どこに時間を使うか」を判断する力なのです。
- 一目で解けそうな問題 → 確実に取る
- 時間がかかりそうで、配点も低い問題 → 後回し、あるいは捨てる
- 得意な記述で、配点が高い問題 → 時間をかけてでも取りにいく
この判断は、本番でいきなりできるものではありません。過去問という”練習台”で、何度も判断の経験を積んでおく必要があります。
「全部解けるようになってから」ではなく
保護者の方からよく聞かれます。「まだ実力が足りないので、過去問は先にしようと思っています」と。
お気持ちはわかりますが、これはもったいない考え方です。
過去問は、実力が完成してから解く「仕上げの確認テスト」ではありません。その学校の形式に慣れ、時間配分の感覚をつかむための道具です。実力が発展途上でも、早めに触れておくことに意味があります。
もちろん、点数が思うように出ないこともあります。でも、それでいいのです。大事なのは点数ではなく、「この学校では、こういう判断が必要なんだ」という感覚を育てること。
家庭では、丸つけのあとにこの質問
過去問を解いたあと、丸つけをしたら、こう聞いてみてください。
「時間、どう使った? どの問題からやった?」
点数の話の前に、判断のプロセスを聞くのです。「大問1から順番にやった」なら、次は「先に全体を見てから、簡単そうなものからやってみよう」と提案できます。
過去問は、答え合わせより、判断の振り返りのほうが大事——これを覚えておいてください。
まとめ
- 過去問は点数を測るものではなく、学校のクセを知るもの
- 知っておくべき4つ——出題範囲/記述の量と形式/時間と文章量/年ごとの難度
- 最大の目的は、「捨てる問題」と「必ず取る問題」を見極める練習
- 実力が完成する前でも、早めに触れておくことに意味がある
- 丸つけでは、点数より時間の使い方・判断のプロセスを聞く
過去問を開くとき、「何点取れるか」ではなく、「この学校は、どんな判断力を求めているんだろう」——そんな目で見てみてください。

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