原稿用紙を前に、鉛筆が止まったまま10分。——作文が苦手な子の、いつもの光景です。
こんにちは。塾業界で20年以上、中学受験塾の塾長も務めてきたまつもも先生です。
今日は、作文全般に使える基本の型をお伝えします。読書感想文でも、行事の作文でも、意見文でも。型を1つ持っている子は、白紙の前でかたまりません。
作文が書けないのは、才能ではなく「型がない」から
まず、これだけは伝えておきたいことがあります。
作文が書けないのは、文才がないからではありません。「自由に書きなさい」と言われて、どこから手をつければいいかわからないだけです。
大人だって、いきなり「原稿用紙3枚、自由にどうぞ」と言われたら固まります。逆に「はじめに◯◯、次に△△を書いてください」と言われれば、書けますよね。型は、その”指示”を自分の中に持つことなのです。
基本の型は「はじめ・なか・おわり」
作文の型は、この3つです。
- はじめ……何について書くか(きっかけ・その時のこと)
- なか……いちばん書きたいこと(くわしく)
- おわり……思ったこと・これからのこと
これだけです。難しい型は要りません。この3つの箱を用意して、上から順に入れていく——それが作文です。
分量は「1:3:1」
型を知っていても、バランスを間違えると失敗します。目安はこの割合です。
はじめ 1 : なか 3 : おわり 1
つまり、「なか」が本体です。全体の半分以上を「なか」に使います。
よくある失敗が、「はじめ」を書きすぎるパターン。運動会の作文なら、朝起きたところから、朝ごはん、家を出て、開会式……と延々続いて、肝心の「いちばん書きたかった場面」が2行で終わる。——これでは、何を伝えたいのかわからない作文になってしまいます。
「なか」は、ひとつの場面をくわしく
では「なか」には何を書くのか。ポイントは、あれもこれも書かないことです。
運動会なら、全部の競技を書く必要はありません。いちばん心が動いた場面ひとつを選んで、そこをくわしく書く。
くわしく書くコツは、この4つを入れることです。
- 見たこと(何が見えた)
- 聞いたこと(誰が何と言った)
- したこと(自分は何をした)
- 思ったこと(そのとき、どう感じた)
特に強いのが「聞いたこと」=会話です。「がんばれって言われた」より「『あと10メートル、いける!』と友だちの声が聞こえた」と書けたら、作文は一気に生き生きします。
「おわり」は、気持ちの変化で締める
「楽しかったです。またやりたいです。」——これで終わると、もったいない。
おすすめは、気持ちの変化を書くことです。
- 前は〜だと思っていた
- でも今回〜を経験して
- これからは〜したい
物語文の読解で「気持ちの変化」を追ってきましたが、書くときも同じです。変化が書けている作文は、読み手の心に残ります。
つまずきやすい「ねじれ文」に注意
最後に、作文でよく見る失敗をひとつ。
×「ぼくの夢は、サッカー選手になりたいです。」
主語は「夢は」なのに、文末が「なりたいです」。かみ合っていませんよね。正しくは——
○「ぼくの夢は、サッカー選手になることです。」
○「ぼくは、サッカー選手になりたいです。」
これは主語と文末がねじれている状態です。呼応の副詞の記事でお伝えした「言葉の対応」と同じ話で、書いたあと、声に出して読むと気づけます。読み返して「なんか変」と感じたら、たいていここが原因です。
家庭では「話してから書く」
作文が苦手な子ほど、いきなり書かせないでください。まずは話してもらいます。
「何がいちばんおもしろかった?」「そのとき、なんて言われた?」「どう思った?」——出てきた言葉をメモして、それを「はじめ・なか・おわり」に振り分ける。
話せることは、書けます。書けないのではなく、材料がないだけ。話す時間をとってあげるのが、いちばんの近道です。
まとめ
- 作文が書けないのは、文才ではなく型がないから
- 型は「はじめ・なか・おわり」の3つの箱
- 分量は1:3:1——「なか」が本体
- 「なか」はひとつの場面を、見た・聞いた・した・思ったでくわしく
- 「おわり」は気持ちの変化で締める(前は〜/でも/これからは)
次に作文の宿題が出たら、まず3つの箱を紙に書いてみてください。それだけで、鉛筆は動き始めます。

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