「人の気持ちなんて、わかりません」——正直な言葉だと思います。

こんにちは。塾業界で20年以上、中学受験塾の塾長も務めてきたまつもも先生です。

今日から、いよいよ読解のお話に入ります。第一回は物語文の読み方の基本。「登場人物の気持ちを答えなさい」——あの定番問題と、どう向き合えばいいのかの土台を作ります。

大前提:気持ちは「想像する」のではなく「読み取る」

物語文のいちばん大きな勘違いから始めましょう。

気持ちの問題は、エスパーのように心を当てる問題ではありません。答えの手がかりは、必ず文章の中に書いてあります。出来事、セリフ、行動、様子——筆者はちゃんと証拠を示してくれています。

冒頭の「人の気持ちなんてわかりません」という子は、実は正しい。わからなくていいんです。探せばいいんです。「想像しなさい」ではなく「探しなさい」——そう言い換えるだけで、物語文はセンスの科目から、論理的な科目に変わります。

もうひとつの落とし穴が「自分ならこう思う」で答えてしまうこと。聞かれているのは、あなたの気持ちではなく、その場面の、その人物の気持ちです。ここを勘違いしている子どもが意外と多いのです。

読みながらおさえる「5点セット」

物語文を読むときに、おさえるものは5つだけです。

  1. いつ……時
  2. どこで……場所
  3. 誰が……登場人物
  4. どうした……出来事
  5. 気持ち……出来事で、人物の気持ちがどう動いたか

難しいことは何もありません。「いつ・どこで・誰が・どうした」場面と、登場人物の「気持ち」の読み取り。読み終わったあとにこの5つが言えれば、物語文は読めています。逆に、どれかが言えなければ、そこが読み飛ばしてしまっている部分です。

気持ちは「出来事」とセットで動く

5点セットの中で、テストに直結するのがこの関係です。

出来事(きっかけ)→ 気持ち → 行動・セリフ

気持ちは、理由もなく動きません。必ずきっかけとなる出来事があります。だから「このときの気持ちは?」と問われたら、気持ちだけをじっと考えるのではなく、直前の出来事に戻る。「何があったから、こうなった」——この形で考えられる子は、記述でも選択肢でも安定して得点できます。

指示語の記事で「直前を探す」という手順をお話ししましたが、気持ちの問題も同じ。答えの根拠は、近くにある。探す方向を知っているだけで、間違いは激減します。

場面の変わり目に、線を引く

物語文には、場面の変わり目があります。目印は3つ。

  • が変わる(次の日、放課後、三年後——)
  • 場所が変わる(教室から帰り道へ——)
  • 人物が増減する(そこへ父がやってきた——)

場面が変われば、たいてい気持ちも動きます。だから教室では、場面の変わり目に線を引きながら読むよう教えています。長い物語文も、場面で区切れば「短いお話の集まり」。ぐっと見通しがよくなります。

家庭では「音読のあとの3つの質問」

家庭でできる物語文トレーニングは、音読とセットが最強です。読んだあとに、3つだけ聞いてください。

  • 誰が出てきた?
  • 何が起きた?
  • 気持ち、どう変わった?

すらすら答えられたら、読めています。詰まったら、一緒にその場面を探しに戻ればOK。「答え探しの旅に一緒に出る」のが、おうちの方のいちばん良い伴走です。

まとめ

  1. 気持ちは想像ではなく読み取る——手がかりは必ず文章の中
  2. 「自分なら」ではなくその場面のその人物
  3. おさえるのは5点セット——いつ・どこで・誰が・どうして・どんな気持ちになった
  4. 気持ちは出来事とセットで動く——迷ったら直前の出来事に戻る
  5. 場面の変わり目(時・場所・人物)に線を引く

物語文シリーズは、これからこの土台の上に「気持ちの読み取り方」「心情語の増やし方」と深掘りしていきます。まずは今夜の音読のあと、3つの質問から始めてみてください。

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