こんにちは。塾業界で20年以上、中学受験塾の塾長も務めてきたまつもも先生です。
前回、「気持ちは想像するのではなく、文章から読み取る」というお話をしました。今日はその続き。では、気持ちはどこに書いてあるのか?——気持ちを読み取る、具体的な3つの手がかりをお伝えします。
気持ちは「4つの場所」にかくれている
物語文で、登場人物の気持ちは、次の4つの場所に現れます。
- 気持ちを表す言葉(うれしい、くやしい——直接書いてある)
- セリフ(「もういい!」——言葉に気持ちがにじむ)
- 行動(ドアをバタンと閉めた——動きに気持ちが出る)
- 表情・様子(うつむいた、こぶしをにぎった——体に気持ちが出る)
①はやさしい。問題になるのは②③④、つまり気持ちが直接書いていないときです。ここを読めるかどうかで、差がつきます。
手がかり①:セリフの奥を読む
セリフは、気持ちのかたまりです。でも、言葉どおりとは限りません。
「もう、知らない!」——本当に知りたくないのではなく、怒っている・かまってほしいのかもしれない。「べつに」——本当は気にしているのかもしれない。
セリフを読むときは、言葉通り受け取って良いのか、「この言葉を言ったとき、どんな気持ちだった?」と一歩奥を考えます。その奥に本当の気持ちがかくれています。
手がかり②:行動から逆算する
人は、気持ちが動くと、体が動きます。だから行動は気持ちのサインです。
- ドアをバタンと閉めた → 怒り・いらだち
- 何度も時計を見た → 不安・待ち遠しさ
- 走って家を飛び出した → よろこび、または悲しみ
大事なのは、「行動」だけでなく「そのとき何があったか」とセットで見ること。同じ「走って飛び出した」でも、直前が合格発表なら喜び、けんかの後なら悲しみです。前回お伝えした「出来事とセットで」が、ここでも生きてきます。
手がかり③:情景(風景)心の鏡
少し高度ですが、知っておくと強い手がかりです。物語では、風景の描写に、人物の気持ちがあらわれていることがあります。
- 空が青くぬけるように晴れていた → 明るい・晴れやかな気持ち
- 冷たい雨が降り出した → 悲しみ・さびしさ
- 夕日が赤く燃えていた → 高ぶる気持ち・決意
「なぜここで急に天気の話?」と思ったら、それは気持ちのヒントかもしれません。風景は、心の鏡なのです。(この情景描写は、また回をあらためてくわしくお話しします)
「気持ちの言葉」を増やすと、読み取りも書き取りも強くなる
ここで大事なのが、気持ちを表す言葉のストックです。つまり心情語を増やすということです。
「うれしい・悲しい・楽しい」だけでは、微妙な気持ちを読み取れませんし、記述でも書けません。「ほこらしい・心細い・きまりが悪い・名残おしい・いたたまれない」——こうした言葉を知っている子は、気持ちを細かく読み分けられます。
これは語彙力の話とそのままつながります。気持ちの言葉は、物語を読むための”専用の語彙”。増やすほど、読解の解像度が上がります。
家庭では「今の、どんな気持ち?」
家庭でのおすすめは、気持ちの実況中継です。
テレビドラマやアニメを一緒に見ながら、「今の『ふーん』って、どんな気持ちだと思う?」。表情や声色から気持ちを当てる遊びは、物語文の練習そのものです。日常の中でも、「今ドア強く閉めたね。どんな気持ちだった?」と、行動から気持ちをたどってみてください。
まとめ
- 気持ちは4つの場所にかくれる——言葉・セリフ・行動・様子
- セリフは奥を読む(「べつに」の本音は?)
- 行動は出来事とセットで逆算する
- 情景(風景)に気持ちがあらわれていることがある
- 気持ちの言葉のストックを増やすと、読み取りも記述も強くなる
まずは今夜、テレビを見ながらひとつ。「今の、どんな気持ちだと思う?」——答えの理由まで聞けたら、もう立派な読解練習です。

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