こんにちは。塾業界で20年以上、中学受験塾の塾長も務めてきたまつもも先生です。
今日は物語文シリーズの中でも、少し高度で、そして知っている子が確実に得をするテーマ——情景描写(じょうけいびょうしゃ)のお話です。
情景描写とは「気持ちが映った風景」
情景描写とは、登場人物の目を通して描かれた風景のことです。
ただの風景説明とは、少しちがいます。悲しい気持ちのときに見る夕日と、うれしい気持ちのときに見る夕日は、同じ夕日でも違って見えますよね。物語の風景は、人物の心を映した鏡なのです。
だから作者は、気持ちを直接書かずに、風景で語ることがあります。「悲しかった」と書く代わりに、「冷たい雨が降り出した」と書く。風景を読める子は、書かれていない気持ちまで受け取れるのです。
定番の「風景と気持ち」の組み合わせ
まずは定番のパターンを知っておきましょう。
- 青空・晴れ……明るい気持ち、希望、すがすがしさ
- 雨・くもり……悲しみ、ゆううつ、不安
- 雪……静けさ、さびしさ、(時に)清らかさ
- 春・花が咲く……始まり、希望
- 夕日・夕焼け……一日の終わり、さびしさ、または心の高まり
- 風がふきぬける……気持ちの切りかえ、すっきりした感じ
ただし、丸暗記は禁物です。「雨=悲しい」と決めつけると、間違えることがあります。雨の中で走り出す場面なら、悲しみではなく決意かもしれません。
大事なのは、比喩の記事でお伝えした手順と同じです。その風景と、そのときの出来事・気持ちを結びつけて考える。根拠は、いつも文章の中にあります。
「気持ちの変わり目」に情景は現れる
情景描写が入りやすい場所があります。それは、気持ちが動く直前直後です。
- つらいことがあった → 「空はどんよりと曇っていた」
- 前を向くと決めた → 「雲の切れ間から、光がさしていた」
気持ちの変化を追う記事で、「変化にはきっかけがある」とお話ししました。情景描写は、その変化を印象づける演出なのです。
だから逆に言えば——風景の描写を見つけたら、その前後で気持ちが動いているサイン。線を引いて、前後を読み直す価値があります。
テストでは、こう問われる
情景描写は、こんな形で出題されます。
- 「この風景の描写は、主人公のどのような気持ちを表していますか」
- 「このときの主人公の気持ちを説明しなさい」(答えの根拠が情景描写にある)
答え方は、これまでと同じ。風景そのものを説明するのではなく、気持ちに言い換えることです。
「雲の切れ間から光がさしていた」→(×)「晴れてきた様子」→(○)「前を向こうとする、希望を持ち始めた気持ち」
風景の言葉を、心情語に翻訳する——ここで、前回お話しした心情語のストックが効いてきます。
家庭では「今の場面、天気は?」
家庭でのおすすめは、気持ちを天気で表現する遊びです。物語を読んだあとに聞いてみてください。
「この場面での主人公の気持ち、天気にたとえるなら何?」
「くもり空かな」「土砂降り!」——気持ちを天気に置き換える練習は、そのまま情景描写を読む力になります。お子さん自身の一日を「今日は何の天気だった?」と聞くのも楽しいですよ。
そして作文や読書感想文でも、この感覚は活きます。「うれしかったです」の代わりに「空が高く見えました」と書ける子は、表現力のある子です。
まとめ
- 情景描写は気持ちが映った風景——心の鏡
- 定番の組み合わせはあるが、丸暗記は禁物。出来事とセットで考える
- 情景は気持ちの変わり目に現れる——見つけたら前後を読み直す
- 答えるときは、風景を心情語に言い換える
- 家庭では「この時の主人公の気持ち、天気にたとえると?」
「気持ちは想像ではなく読み取るもの」——その手がかりは、セリフにも、行動にも、そして風景の中にもあります。今夜、ぜひ空を見上げてみてください。

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