こんにちは。塾業界で20年以上、中学受験塾の塾長も務めてきたまつもも先生です。
「感想文が書けない」は、お子さんの力不足ではありません。「自由に書きなさい」が、いちばん難しいのです。大人だって、いきなり原稿用紙3枚「自由にどうぞ」と言われたら、手が止まりますよね。必要なのは才能ではなく、読書感想文の型です。
まず知っておきたい:読書感想文は「あらすじ」ではない
いちばん多い失敗パターンは、あらすじ作文です。「〜という話でした。おもしろかったです。」——本の説明が9割、感想が1行。
でも、これは子どもを責められません。「本の内容を書くんでしょ?」と思っているだけなのです。最初に、こう伝えてあげてください。
「先生が読みたいのは、本の説明じゃなくて、あなたの考えたことだよ」
あらすじは、2〜3行で十分です。
感想文の「型」——3つに分ける
作文が苦手な子ほど、型が効きます。感想文は、3つの部屋でできています。
①:本との出会い(はじめ)
「なぜこの本を選んだのか」「表紙やタイトルを見てどう思ったか」を数行。ここは短くてOKです。
②:心が動いた場面(なか)※ここが本体
心が動いた場面を2〜3個選んで、それぞれについて書きます。書く順番はいつも同じ。
- どの場面で(短く引用や説明)
- どう感じたか(びっくりした、悔しかった、うらやましかった…)
- 自分の経験とつなげる(「私にも似たことがあって——」)
この「自分の経験とつなげる」が入ると、感想文は一気に”その子にしか書けない文章”になります。
③:読む前と読んだ後(おわり)
「読む前の自分」と「読んだ後の自分」で、変わったこと・考えるようになったことを書きます。「これからは〜したい」で締めると、きれいに着地します。
親の仕事は「書かせる」ことではなく「聞く」こと
「早く書きなさい」では、1行も進みません。おうちの方の出番は、書く前のおしゃべりです。読み終わったお子さんに、こんな質問をしてみてください。
- 「どこが一番びっくりした?」
- 「主人公と同じような気持ちになったこと、ある?」
- 「もし自分が主人公だったら、どうした?」
お子さんが話したことを、付箋やメモにどんどん書き留めてください。実は、そのメモがもう感想文の設計図です。あとは①②③の順に並べて、文にするだけ。「書けない」の正体は、書く材料がないことなのです。
「おもしろかった」しか出てこないとき
「どうだった?」「おもしろかった」「どこが?」「全部」——あるあるですね。
そんなときは、質問を小さくします。「一番ドキドキしたページ、開いてみて」。ページを開けば、場面が特定できます。場面さえ決まれば、「このとき主人公はどんな気持ちだったと思う?」「あなたはどう思った?」と続けられます。
大きな質問より、小さな質問。これが感想文の聞き出しのコツです。
感想文は、国語の力そのものを育てる
じつは読書感想文は、宿題のためだけのものではありません。
「場面を選ぶ→気持ちを言葉にする→経験とつなげる」——これは、物語文の読解で問われる「登場人物の気持ちを読み取り、根拠とともに説明する力」の練習そのものです。夏休みの読書感想文をていねいに書いた経験は、秋からの読解にちゃんとつながります。
まとめ
- 感想文はあらすじではなく「心が動いた話」——あらすじは2〜3行
- 型は3つに分ける——出会い/心が動いた場面×2〜3/読む前と後の変化
- 場面ごとに「場面→気持ち→自分の経験」の順で書く
- 親の仕事は質問して、メモすること——メモが設計図になる
- 「おもしろかった」しか出ないときは、質問を小さく(一番ドキドキしたページ開いてみて)
今年の夏は、「早く書きなさい」の代わりに、「どこが一番びっくりした?」から始めてみてください。

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