選択肢を4つ読んで、「うーん、どれも合ってる気がする……」——そうなったら、もう出題者の思うつぼです。
こんにちは。塾業界で20年以上、中学受験塾の塾長も務めてきたまつもも先生です。
「本文を読まなくていいシリーズ」の第4弾。今日は選択肢問題(記号問題)です。
前回、記号問題は100点か0点だとお伝えしました。だからこそ、確実に取りにいきたい。そのために知っておくべき、選択肢の正体からお話しします。
大前提:選択肢は、迷わせるために作られている
まず、これを知っておいてください。
選択肢の間違いは、出題者が引っかけるために作っています。
4つの選択肢のうち、正解は1つ。残りの3つは、わざと正解に似せて作られたワナです。
- ほとんど合っているけど、一か所だけちがう
- 本文に書いてあるけど、聞かれていることとちがう
- なんとなく正しそうだけど、本文には書いていない
だから「どれも合ってる気がする」のは、お子さんの読解力が足りないからではありません。そう感じるように作られているのです。
鉄則①:いきなり選択肢を読み始めない
ここが、いちばん大事なところです。
多くの子は、設問を読んだらすぐ選択肢に目を走らせます。これが失敗のもとです。
なぜなら、選択肢はどれも「それらしく」書かれているから。先に読んでしまうと、頭がそちらに引っ張られます。「あ、これも正しそう」「こっちもありえる」——そうやって迷いはじめた時点で、勝負は不利になります。
選択肢は、あとで見る。これを徹底してください。
鉄則②:先に本文へ戻り、自分の答えを作る
では、何を先にするのか。本文に戻るのです。
- 傍線部を含む一文を、もう一度ていねいに読む
- その前後も確認する
- 「答えはこういう内容だろう」と、自分なりに見当をつける
このとき、うまい言葉でなくて構いません。「だいたい、こんな感じ」で十分です。自分の中に、答えの”かたち”を持つことが目的です。
鉄則③:自分の答えに近いものを選ぶ
見当をつけてから、はじめて選択肢を見ます。
すると、景色が変わります。「自分の答えに近いのはどれか」という目で見られるので、迷いが激減するのです。
- 先に選択肢を読む → 選ばされる
- 先に自分の答えを作る → 選びにいける
同じ問題でも、この順番だけで正答率が変わります。選択肢に振り回されず、自分の答えを物差しにする。これが選択肢問題の基本姿勢です。
ワナの目印:「言い過ぎ言葉」に注意
そのうえで、ワナを見抜く目印もお伝えしておきます。
選択肢の中に、こんな言葉が入っていたら要注意です。
100パーセント系
すべて/必ず/いつでも/どこでも/みな/最も
限定系
唯一/だけ/のみ/しか
これらの言葉が入っている選択肢は、間違いである可能性が高いです。
なぜ「言い過ぎ言葉」は間違いになりやすいのか
理由はシンプルです。文章は、そこまで言い切っていないことが多いからです。
たとえば、本文にこう書いてあったとします。
読書は、語彙力を育てるのに役立つ。
これに対して、こんな選択肢があったら——
×「読書をすれば、必ず国語の成績が上がる」
本文は「役立つ」と言っているだけで、「必ず上がる」とは言っていませんよね。ちょっとだけ言い過ぎている。これがワナです。
出題者は、こういう「一言だけ盛った選択肢」を作ります。ぱっと読むと正しそうに見えるのに、よく見ると本文より強く言い切っている——そこが×の理由なのです。
ただし、「必ず間違い」ではありません
ここで、大事な注意をひとつ。
「言い過ぎ言葉が入っていたら、必ず間違い」ではありません。
——お気づきでしょうか。今、私は「必ず」を使いました。そう、このルール自体も、言い切ってはいけないのです😊
本文にはっきり「すべての人が」と書いてあれば、選択肢の「すべて」は正しい。だから使い方はこうです。
「あ、言い過ぎ言葉がある。ここ、本文と合っているか確かめよう」——チェックのきっかけにする。
いきなり消すのではなく、疑って確かめる。この使い方なら、失敗しません。
家庭では「言い過ぎ探し」
家庭でおすすめなのは、選択肢に線を引かせる練習です。
問題集の選択肢を見て、「すべて・必ず・だけ・のみ、が入ってるとこ、丸してみて」
丸をつけたら、「じゃあ本文にも、そこまで書いてある?」と確かめる。この往復をくり返すうちに、言い過ぎ言葉が目に飛び込んでくるようになります。
そして、これは国語だけの力ではありません。「絶対に儲かる」「みんな使っている」——大人になってから出会う言葉を、立ち止まって疑える力にもつながります。
まとめ
- 選択肢の間違いは、出題者がわざと作ったワナ——迷って当然
- 鉄則①:いきなり選択肢を読まない(頭が引っ張られる)
- 鉄則②:本文の傍線を含む一文に戻り、自分の答えを作る
- 鉄則③:自分の答えに近いものを選ぶ——選ばされるのではなく、選びにいく
- ワナの目印は言い過ぎ言葉(すべて・必ず・いつでも/唯一・だけ・のみ)。ただし消すのではなく、確かめる
次に選択肢問題を解くとき、まずこう言ってあげてください。「選択肢を見る前に、自分の答えを言ってみて。」——それができた子は、もうワナにかかりません。

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