【塾講師が解説】マンガは読書に入る?|答えは「入ります」

「うちの子、マンガばっかり読んでいて……」——よくご相談を受けます。

塾講師としての答えを、はっきり書きます。マンガは、読書に入ります。

こんにちは。塾業界で20年以上、中学受験塾の塾長も務めてきたまつもも先生です。

今日は、どんなマンガなら読解力がつくのかをお伝えします。

結論:ストーリーがあるマンガは、読書に入る

物語(ストーリー)があるマンガは、読書に入ります。

一方、入らないものもあります。戦闘シーンが中心で、擬音語ばかりのマンガです。「ドンッ」「バキッ」「ズガーン」——絵と音だけでページが進んでいくタイプ。

この差は、はっきりしています。

なぜ、ストーリーマンガは読書になるのか

物語のあるマンガを読むとき、子どもの頭の中では、国語の読解とほぼ同じことが起きています。

①場面をつかんでいる

いつ、どこで、誰が。——マンガを読む子は、コマが変わるたびに場面を切り替えています。物語文の「場面分け」と、まったく同じ作業です。

②登場人物の気持ちを読んでいる

表情、セリフ、行動。マンガは、その情報の宝庫です。「今の『べつに』は、本当は怒ってるな」——セリフの奥を読む練習を、子どもは楽しみながらやっています。

③話の流れ(因果)を追っている

「あの出来事があったから、この子はこうなった」。物語文でお伝えした「きっかけ→気持ち→行動」を、自然に追いかけています。

「伏線」があるマンガは、特に良い

たとえば『名探偵コナン』のような作品です。

推理ものには、伏線があります。前のほうに何気なく出てきた情報が、あとで意味を持つ。読者は、前に読んだことを覚えておいて、後の情報とつなげる必要があります。

これ、読解そのものです。

説明文で「前の段落で言っていたことと、ここがつながっている」と気づく力。物語文で「あの日の出来事が、この場面につながっている」と読み取る力。伏線を追う楽しさを知っている子は、その力をすでに使っています。

入らないのは、擬音語ばかりのマンガ

一方、戦闘シーンが延々と続き、文字がほとんど擬音語だけ、というマンガはどうでしょう。

読み取る要素が、ほとんどありません。

文字情報が少なく、話の流れも「戦って、勝った」だけ。気持ちの変化も、伏線もない。——これは、読書というより映像を眺めているのに近い状態です。

もちろん、楽しむのは自由です。息抜きは必要ですし、好きな作品を否定する必要もありません。ただ、「これは読書だ」と言い切るのは無理がある、というだけの話です。

それでも、マンガだけでは足りない理由

ここは正直にお伝えします。マンガだけでは、国語の力は完成しません。

理由は、ひとつです。マンガは、場面を絵が教えてくれるからです。

  • 悲しい表情 → 絵でわかる
  • 雨が降っている暗い夜 → 絵でわかる
  • ドアを強く閉めた → 絵でわかる

でも、国語の文章に絵はありません。文字だけを手がかりに、頭の中で場面を組み立てる必要があります。この「文字から想像する力」は、活字を読むことでしか育ちません。

このブログの出発点で、子どもにとって国語の文章は”外国語”というお話をしました。マンガは、その外国語に翻訳がついている状態です。翻訳つきで慣れるのは良いことですが、翻訳なしで読む練習も、どこかで必要なのです。

マンガを「入口」にする

だからおすすめは、否定せずに、橋渡しをすることです。

  • マンガで好きになった作品の、小説版を読んでみる
  • 歴史や科学の学習マンガから、同じテーマの本へ
  • マンガの原作が小説なら、そちらへ

「マンガなんか読んでないで本を読みなさい」——この言葉には、注意が必要です。子どもにとってマンガは、大好きなもの。それを否定されると、「読むこと」そのものが嫌なことになってしまいます。

読むのが好きな子は、必ず伸びます。その”好き”を、活字のほうへ少しずつ広げていく。急がなくて大丈夫です。

家庭では「あのマンガ、どんな話?」

家庭でおすすめなのは、マンガの話をさせることです。

「あのマンガ、どんな話なの?」

子どもは、うれしそうに説明してくれます。そして、これは立派な要約の練習です。長いストーリーを、短くまとめて、順番に話す——国語のテストでやっていることと同じです。

さらに一歩進めるなら、こう聞いてみてください。

「あの伏線、気づいてた?」
「あの子、なんであんなこと言ったのかな?」

好きなものについてなら、子どもはいくらでも考えます。楽しみながら読解の練習ができる——これが、マンガのいちばん良いところかもしれません。

まとめ

  1. ストーリーのあるマンガは、読書に入る
  2. マンガでも、場面・気持ち・因果を読み取っている
  3. 伏線のある作品は特に良い(前の情報を覚えて、後でつなげる=読解そのもの)
  4. 擬音語ばかりの戦闘マンガは、読み取る要素が少ない
  5. ただしマンガだけでは足りない——絵がない文章を読む練習は別に必要
  6. 否定せず、マンガを入口に活字へ橋渡しする

今日、お子さんに聞いてみてください。「そのマンガ、どんな話なの?」——楽しそうに話し始めたら、それはもう国語の勉強です。

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