「べつに、どうでもいいし。」——このセリフを言った子は、本当に「どうでもいい」と思っているでしょうか。
こんにちは。塾業界で20年以上、中学受験塾の塾長も務めてきたまつもも先生です。
以前、気持ちは「セリフ・行動・様子」に現れるとお話ししました。今日はそこを一歩深めて、実際の例で読み解く練習をしてみましょう。物語文でいちばん問われるのが、この「セリフと行動から気持ちを読む」力です。
セリフは「言葉どおり」ではない
まず、大事な前提から。
人は、思っていることをそのまま口に出すとは限りません。
- 「べつに」……本当は気にしている
- 「もう知らない!」……本当はかまってほしい
- 「なんでもないよ」……本当は言いたいことがある
- 「ふざけんな」……本当は傷ついている
大人ならピンとくる感覚が、子どもにはまだ育っていないことがあります。だから、言葉の奥を読むという発想そのものを、教えてあげる必要があるのです。
読むときの合言葉は、これ。「本当は、どう思っている?」
同じセリフでも、場面がちがえば気持ちがちがう
「いいよ。」——たった三文字のセリフです。でも場面によって、中身はまるでちがいます。
- 友だちに「消しゴム貸して」と言われて → 「いいよ(どうぞ)」=親切、快く
- あやまってきた友だちに → 「いいよ(気にしてない)」=ゆるす気持ち
- さそいを断るとき → 「いいよ(けっこうです)」=拒否
- ずっと待たされたあとで → 「いいよ(もういい)」=あきらめ、いらだち
だからテストで「このセリフの気持ちは?」と問われたら、セリフだけを見ていては絶対に解けません。必ず「その直前に何があったか」に戻ること。——気持ちは出来事とセットで考える、というシリーズおなじみの原則が、ここでも決め手になります。
行動は「気持ちがあらわれた体の動き」
行動も同じです。気持ちが動くと、体が勝手に動きます。行動は、気持ちがあらわれたサインです。
- ドアをバタンと閉めた → 強い怒り
- 何度も時計を見た → 待ち遠しい、不安
- うつむいて、黙りこんだ → 落ちこみ、後悔
- こぶしをぎゅっとにぎった → こらえている、決意
- 走って教室を飛び出した → 感情があふれた(何の感情かは場面しだい)
最後の例が大事です。「走って飛び出す」は、うれしくても、悲しくても、腹が立っても起こります。行動だけでは気持ちは決まらない。やはり出来事とセットで見るのです。
練習:この場面、どんな気持ち?
例で練習してみましょう。
テストが返ってきた。ぼくは答案をすぐに折りたたんで、ランドセルの奥に押しこんだ。「見せてよ」と言う友だちに、「べつに、たいしたことないから」と笑って見せた。
さて、この子の気持ちは?
- 行動……答案をすぐ折りたたむ、奥に押しこむ → 見られたくない
- セリフ……「べつに、たいしたことない」 → 話をそらしている
- 様子……「笑って見せた」 → 平気なふりをしている
つなげると——点数が悪くて恥ずかしく、友だちに知られたくない気持ち。そして「笑って見せた」があることで、本当の気持ちをかくしていることまで読み取れます。
これが、セリフ・行動・様子を合わせて読むということです。ひとつの手がかりで決めつけず、いくつも重ねると、答えははっきりしてきます。
「本当の気持ちをかくす」場面は、狙われる
いま見たように、気持ちをかくす場面は、テストで非常によく問われます。
- 平気なふりをする
- 強がる
- わざと明るくふるまう
このとき、うわべの言葉(「たいしたことない」)を答えると、まちがいになります。聞かれているのは、かくれている本音のほうです。
見分けるヒントは、言葉と行動がちぐはぐなとき。「たいしたことない」と言いながら答案をかくす——この食いちがいこそ、本音が別にあるサインです。
家庭では「本当はどう思ってる?」
家庭でのおすすめは、ドラマやアニメを見ながらの問いかけです。
「今『べつに』って言ったけど、本当はどう思ってると思う?」
映像なら表情や声色もヒントになるので、子どもにも読み取りやすいはずです。
まとめ
- セリフは言葉どおりとは限らない——合言葉は「本当は、どう思っている?」
- 同じセリフでも場面がちがえば気持ちがちがう(「いいよ」の4つの顔)
- 行動は気持ちがあらわれたサイン——ただし行動だけでは決まらない
- セリフ・行動・様子を重ねると、答えははっきりする
- 言葉と行動がちぐはぐなときは、本音がかくれている
今夜のアニメを見ながら、ひとつ聞いてみてください。「今の『〇〇』、本当はどう思っているの?」

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