「どこまで手伝っていいの?」——読書感想文で、保護者の方がいちばん悩むのが、この距離感だと思います。
こんにちは。塾業界で20年以上、中学受験塾の塾長も務めてきたまつもも先生です。
読書感想文の書き方、本の選び方と続けてきました。今日はおうちの方の関わり方についてです。手を出しすぎても、放っておいても、うまくいかない。その”ちょうどいい距離”をお伝えします。
手伝っていい部分と、手伝ってはいけない部分
はっきり線を引きましょう。
手伝っていいこと
- 本を一緒に選ぶ
- 質問して、考えを引き出す
- 話したことをメモしてあげる(低学年なら特に)
- 書く順番を一緒に整理する
- 誤字や原稿用紙の使い方を教える
手伝ってはいけないこと
- 感想そのものを言ってしまう(「感動したって書けば?」)
- 文章を親が考えて言わせる
- 大人の言葉に書き直す
境目はシンプルです。中身はお子さんのもの、手順はお手伝いしていい。——引き出すのはOK、入れるのはNG、と覚えてください。
親が書くと、なぜダメなのか
正直に言うと、先生が読めばすぐわかります。子どもは書かない言葉、子どもは持たない視点が混ざるからです。
でも、それ以上に大きな理由があります。「自分の力で書けた」という経験を、子どもから奪ってしまうからです。
読書感想文は、書き終わったとき「けっこう書けた!」と感じられると、次からの作文がぐっと楽になります。逆に「お母さんお父さんに書いてもらった」という記憶は、苦手意識だけを残します。多少うまくなくても、本人の言葉で最後まで書き切ることのほうが、ずっと価値があります。
スケジュールは「3日に分ける」
一日で全部やろうとすると、必ずケンカになります。おすすめは3日に分けるやり方です。
- 1日目:読む(読むだけ。感想文の話はしない)
- 2日目:話す(親子で質問しながら、メモを作る)
- 3日目:書く(メモを見ながら、下書き→清書)
特に大事なのが2日目です。ここでメモができていれば、3日目は「並べて書くだけ」。逆にメモなしで机に向かわせると、1時間ねばっても1行も進みません。
「書けない」の正体は、書く材料がないこと。材料集めの日を、別に用意してあげてください。
直しは「多くても3か所」
書き上がった文章を見ると、直したいところがたくさん見つかります。でも、ぐっとこらえてください。
指摘は、多くても3か所まで。
しかも、直すのは「意味が伝わらないところ」だけで十分です。表現の好みや、もっと良い言い回しは、言わないほうがいい。全部赤で直された作文を見た子は、次から書きたくなくなります。
そして、直す前に必ずほめてください。「この場面を選んだのがいいね」「ここ、あなたらしい言い方だね」——具体的にほめられた部分は、次の作文でも残ります。
つい言ってしまうNGワード
どれもうっかり出やすい言葉です。
- 「何でもいいから早く書きなさい」……何でもいいのが、いちばん難しい
- 「もっとちゃんとした感想はないの?」……子どもの感想を否定してしまう
- 「そんなことしか思わなかったの?」……次から本音を言わなくなる
- 「去年の◯◯ちゃんはもっと上手だった」……比較は何も生みません
代わりに、この一言を。「へえ、そう思ったんだ。どうしてそう思ったの?」——否定せず、理由を聞く。これだけで、子どもの言葉はどんどん出てきます。
それでも進まないときは
どうにも進まない日もあります。そんなときは、思い切ってその日はやめるのも手です。
感想文は、心が動いた話を書くもの。イライラしながら書いた文章は、たいてい良くなりません。「今日はここまで。明日また話そう」と切り上げるほうが、結果的に早く終わります。
まとめ
- 中身は子どものもの、手順は手伝っていい——引き出すのはOK、入れるのはNG
- 親が書くと、「自分で書けた」経験を奪ってしまう
- 3日に分ける(読む日/話す日/書く日)——特に「話す日」が大事
- 直しは多くても3か所、直す前に具体的にほめる
- NGワードの代わりに「どうしてそう思ったの?」
今年の夏は、書かせる人ではなく、聞く人になってみてください。それがいちばん、お子さんの文章を良くします。

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