「どうだった?」「おもしろかった」「どこが?」「……全部」
こんにちは。塾業界で20年以上、中学受験塾の塾長も務めてきたまつもも先生です。
この会話、身に覚えがありませんか。今日は、「おもしろかった」から先に進まない子から、言葉を引き出す質問を、そのまま使える形でご紹介します。読書感想文はもちろん、物語文の読解練習にもそのまま使えます。
なぜ「おもしろかった」で止まるのか
まず、原因を知っておきましょう。子どもが答えられないのは、やる気がないからではありません。
質問が大きすぎるのです。
「どうだった?」は、大人にとっても難しい質問です。本一冊まるごとについて、感想を一言で言え、と言われているようなもの。大人だって「面白かったです」で終わりますよね。
だから、コツはひとつ。質問を小さくすること。
まずは「場面を1つ」に絞らせる
いちばん効くのが、答える範囲を狭める質問です。
- 「いちばんドキドキしたページ、開いてみて」
- 「主人公が一番かわいそうだったのは、どこ?」
- 「声に出して読むなら、どの場面を選ぶ?」
ページを開かせてしまえば、話は具体的になります。「本全体」ではなく「この1ページ」について聞く——これだけで、口が動き始めます。
「はい・いいえ」で答えられる質問から入る
それでも黙ってしまう子には、答えやすい質問から始めます。
- 「この主人公のこと、好き? きらい?」
- 「自分がこの子だったら、同じことした? しなかった?」
- 「この話、ハッピーエンドだと思う?」
答えたら、すかさず次の一言。「どうして?」
——実は、これが本命です。「好き」「きらい」は誰でも答えられる。そして理由を聞かれると、子どもは自分の考えを言葉にします。答えやすい質問で口を開かせて、理由で深める。この二段構えが基本形です。
そのまま使える質問リスト
場面別に並べておきます。全部聞く必要はありません。刺さりそうなものを2〜3個でじゅうぶんです。
気持ちを引き出す
- いちばん「わかる〜」と思ったのはどこ?
- 主人公にイライラしたところ、ある?
- 泣きそうになったところは?
- もし友だちだったら、なんて声をかける?
自分の経験とつなげる
- 自分にも似たこと、あった?
- おなじ立場だったら、どうしてた?
- この話を読む前と後で、考えが変わったことある?
深く考えさせる
- この主人公は、最後に何に気づいたと思う?
- この本、どうしてこのタイトルなんだろう?
- 作者は、この話で何を伝えたかったんだと思う?
- 続きがあるとしたら、どうなると思う?
とにかく口が重いとき
- この本、友だちにすすめる? すすめない?
- 星いくつ? どうしてその数?
- この話、ひとことで言うと何の話?
「星いくつ?」は最強の入り口
上の「満点は星5つ、この本は星いくつ?」は、授業でも家庭でも使える聞き方です。
「星3つ」と答えたら、「どうして5つじゃないの?」と聞いてみてください。すると——「主人公がちょっと調子に乗ってたから」「最後があっさりしすぎ」など、評価の理由=立派な感想が出てきます。
しかも、この形式は子どもにとって「感想を言わされている」感じがしません。ゲーム感覚で本音が出てきます。
親がやってはいけない、たった1つのこと
質問しているうちに、つい自分の答えを言ってしまう——これだけは避けてください。
「お母さんはね、ここが感動したわ」と先に言うと、子どもは「じゃあ、それでいい」となります。子どもの感想は、そこで消えてしまいます。
答えは言わない。質問だけする。沈黙が続いても、5秒だけ待ってみてください。子どもは、大人が思うよりゆっくり考えています。
出てきた言葉は、必ずメモ
そして最後に、いちばん大事なこと。子どもが話したことは、その場でメモしてください。
話し言葉のままで構いません。付箋でも、裏紙でもOK。このメモが、そのまま読書感想文の材料になります。「書けない」の正体は材料がないことなので、話せた時点で、もう半分書けています。
まとめ
- 「おもしろかった」で止まるのは、質問が大きすぎるから
- 場面を1つに絞らせる(いちばんドキドキしたページ開いてみて)
- はい・いいえで答えられる質問→すかさず「どうして?」
- 「星いくつ?」→「どうして5つじゃないの?」が最強の入り口
- 親は答えを言わない。話した言葉は必ずメモ
今日から「どうだった?」を封印して、小さな質問に変えてみてください。お子さんの言葉、ちゃんと出てきますよ。

コメント