【塾講師が解説】実は、文章を読まなくても入試問題は解ける|でも本当に大事なのは「設問の読み方」

本当のことを言います。実は、文章を読まなくても、入試問題はある程度解けてしまいます。

こんにちは。塾業界で20年以上、中学受験塾の塾長も務めてきたまつもも先生です。

これまで「しっかり読むことが大切」とお伝えしてきた私が、なぜこんなことを言うのか。——今日は、その裏側にあるいちばん大事な話をします。結論から言えば、国語で最も大切なのは「設問をどれだけしっかり読むか」なのです。

なぜ、読まなくても解けてしまうのか

理由は単純です。答えのありかは、設問が教えてくれるからです。

「傍線部①とありますが、その理由を答えなさい」——この設問が指し示しているのは、傍線部①のまわりです。文章全体を読まなくても、その周辺だけを丁寧に見れば、答えが見つかる問題は少なくありません。

理由を問われる設問の答えのほとんどは傍線の後ろ、しかも近くにあります。文末が「から・ので・ため」になっている一文を見つけたら、それが答えである可能性が高いのです。

つまり——設問を正確に読める子は、探す場所がわかる。逆に言えば、いくら文章を読んでも、設問が読めていなければ点にならないのです。

だから「設問をじっくり読む」

そこで教室では、本文はさっと読んで設問をじっくり読みましょうとお伝えすることがあります。

設問をじっくり読むとはどういうことか

  • 内容と形を確認する(設問を読んで線を引いたり、まるで囲んだりするのです)

こうすることで、設問内容が一目で分かるようになります。

「設問を先に読む」方法もあります。

中学生や高校生に有効なこの方法は、小学生には逆効果になることがあります。

しかし、設問を先に読むことが得点アップとモチベーションアップにつながるお子さんがいるのも事実です。

ただし——ここが今日いちばん伝えたいことです。

「設問を先に読む」の本当のねらいは、時間短縮ではありません。設問を、ちゃんと読ませることです。

国語で点を落とす原因の多くは設問の読み落としです。長年たくさんの答案を見てきましたが、これは本当に多いです。

教室でよく見る「設問の読み落とし」3つ

①設問を文末まで読まず、聞かれたことに答えていない

いちばん多いのがこれです。途中まで読んで「あ、こういう問題ね」と思い込み、走り出してしまう。設問は、文末まで読まないと何を聞かれているか決まりません。

②「正しくないもの」「誤っているもの」を選ぶ問題で、正しいものを選んでしまう

読解はできているのに、バツになる。いちばんもったいない失点です。「正しくないものを選びなさい」——この一語を見落とすだけで、点は消えます。

③気持ちを答える問題や、言い換えの問題なのに、理由を答えてしまう

「どういうことですか」と聞かれているのに、「なぜなら〜」と理由を書く。「気持ちを答えなさい」なのに、出来事を説明してしまう。問われている中身とちがう答えを書いているパターンです。

——3つとも、読解力の問題ではありません。設問を、最後まで、正確に読んでいないだけ。だからこそ、直せば一番早く点が上がるところなのです。

だから「設問に線を引く」

対策はシンプルです。設問を読みながら、大事なところに線を引く。

  • 正しくないもの」「あてはまらないもの」→ 打ち消しの言葉に線
  • 気持ちを答えなさい」「理由を答えなさい」→ 何を答えるかに線
  • 十五字以内で」「抜き出して」→ 条件に線

線を引くというのは、「文末まで読んだ」という証拠でもあります。引く場所を探すために、最後まで読むことになるのです。これが、この方法のいちばん良い点です。

それでも、低学年にはおすすめしません

ここまで書いておいて、大事な但し書きです。

低学年のうちから、この解き方を教えるのはおすすめしません。

理由は、読む力そのものが育たなくなるからです。低学年〜中学年は、長い文章を最初から最後まで読み通す経験を積む時期です。「設問に関係あるところだけ読む」というクセが先についてしまうと、文章をまるごと読み通す力が育ちません。

音読の記事でお伝えした通り、読めなければ、解けません。土台のないテクニックは、いずれ頭打ちになります。実際、低学年でこの解き方を覚えた子が、高学年の長く難しい文章でつまずく——という場面を、何度も見てきました。

こんな子には、有効です

一方で、こういうお子さんには有効です。

  • 高学年(5〜6年生)で、テスト時間が足りない子
  • 長文の途中で迷子になって、最後の問題までたどり着けない子
  • 受験の直前期で、得点を1点でも積み上げたい時期
  • 設問の読み落としで、いつも同じミスをする子

つまり、読む力がある程度育ったうえで、点数につなげる段階の子です。順番を間違えないことが大切です。

家庭でできること:設問だけ音読させる

家庭でおすすめなのは、設問だけを声に出して読ませることです。

丸つけのとき、間違えた問題があったら、答えを教える前に一言。「設問、声に出して読んでみて」

すると、けっこうな割合で——「あ!」と自分で気づきます。読解力ではなく設問の読み落としだった、と本人が発見する。この経験を何度かすると、ミスは自然に減っていきます。

まとめ

  1. 文章を読まなくても解ける問題はある——答えのありかは設問が教えてくれる
  2. 「設問をじっくり読んでしるしをつける」と、何を探すかが決まる
  3. 本当のねらいは設問をしっかり読ませること
  4. 読み落としの定番は3つ——文末まで読まない/「正しくない」の見落とし/聞かれた中身とちがう答え
  5. 低学年にはすすめない(読む力が育たない)。有効なのは高学年・時間が足りない子・直前期

次のテスト直しのとき、まず聞いてみてください。「この問題、何を聞かれてた?」——答えられなかったら、点を落とした原因はそこです。

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